・ナイルの海戦
(Battle of the Nile, 1798/8/1)
別名:アブキール湾の海戦(Battle of Aboukir
Bay)英勝利
フランス革命戦争戦争(1792-1802)
於:アレクサンドリア沿岸アブキール湾
ナイルの海戦はエジプト北部ナイル河デルタの北西端アレクサンドリア沿岸のアブキール湾(Aboukir
Bay, Alexandria)で、1798/8/1〜8/2朝にかけてネルソン提督のイギリス艦隊がフランス艦隊に対して勝利した海戦。1798年にナポレオンはエジプト遠征を計画していました。イギリスは地中海のフランス軍の不穏な動きを知って、ネルソン提督艦隊を派遣するも、イギリス艦隊は嵐で損傷した旗艦ヴァンガード号を補修している間に、フランス艦隊はツーロン港を出帆して、ナポレオン軍はエジプトへ上陸。1798/8/1にイギリス艦隊は、陸軍を上陸させてアブキール湾に停泊していたフランス艦隊を発見。イギリス艦隊(戦列艦14隻)とフランス艦隊(戦列艦13隻)は、8/1の日没前に遭遇。艦艇数は拮抗するも、フランス艦隊は食料と水の欠乏に苦しみ、水兵3分の1が上陸していました。また、イギリス艦隊が歴戦の精鋭であったのに対して、フランス艦隊は徴用船員が多く練度は劣っていました。
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ロゼッタ・ストーン
フランス 1972 発行 |
フランス艦隊は西側の浅瀬を左手にして、200m間隔で南北に縦陣を敷いて艦艇を鎖で連結。大砲を海側へ向けて防御態勢をとっていました。それは当時では考えうる限り最高の防御態勢とされていました。さらにアブキール湾には浅瀬が広がっており、夕闇の中でイギリス艦隊が座礁の危険を冒してまで攻撃してくるとは予想されていませんでした。そこへネルソン提督は危険を顧みず攻撃を開始。攻撃前に座礁したカローデン号を除く艦艇を2分し、北側からアブキール湾に進入。1隊を陸地とフランス艦隊との間に割り込ませました。陸側からの攻撃に対してはフランス艦隊は戦闘準備が整っておらず(陸側の砲門は閉じたままだったと言う証言も有)、その上に折からの北風で、縦陣の南側のフランス艦艇は北側の僚艦を救援することができませんでした。イギリス艦隊は北から1隻ずつ順番にフランス艦艇を攻撃して次々に撃破。フランス艦艇のうちヴィルヌーブ艦長のギヨーム・テル号とル・ジェネルー号の戦列艦2隻とフリゲート艦2隻は戦場から脱出するも、残りは8/2朝までに炎上するか鹵獲されました。イギリス艦隊には撃沈された艦は1隻も無。戦いの結果、ナポレオン軍は大敗して地中海の制海権は完全にイギリスのものとなり、ナポレオン軍は本国との連絡を絶たれ、エジプトに孤立してしまいました。ネルソン提督は常勝の名声を高め、各国の海軍から恐れられました。
<ナイルの海戦、艦隊戦闘序列>
(Order of Battle at the Battle of the
Nile's Fleets)
・英仏艦隊:〜(British & French fleet)
英仏スの艦隊 |
主 力 |
その他 |
総司令官 |
乗艦 |
・イギリス |
戦列艦14隻 |
スループ艦1隻 |
ネルソン提督 |
ヴァンガード号 |
・フランス |
戦列艦13隻 |
フリゲート艦4隻 |
ブリュイ提督 |
ロリアン号 |
<イギリス艦隊>:〜(British fleet)
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イギリスの艦隊編成:〜(Rear-Admiral Nelson's
fleet) |
イギリス戦列艦
マーシャル 2005 発行 |
・ |
艦名 |
戦列艦 |
砲 |
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・ゴライアス号 |
HMS Goliath |
74 |
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・ゼラス号 |
HMS Zealous |
74 |
※Hood |
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・オライオン号 |
HMS Orion |
74 |
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・オーディシャス号 |
HMS Audacious |
74 |
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・シーシュース号 |
HMS Theseus |
74 |
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・ヴァンガード号 |
HMS Vanguard |
74 |
Nelson旗艦 |
|
・マイノーター号 |
HMS Minotaur |
74 |
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・ディフェンス号 |
HMS Defence |
74 |
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| ・ベレロフォン号 |
HMS Bellerophon |
74 |
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・マジェスティック号 |
HMS Majestic |
74 |
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|
・リアンダー号 |
HMS Leander |
50 |
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・アレグザンダー号 |
HMS Alexander |
74 |
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・スウィフトシャー号 |
HMS Swiftsure |
74 |
|
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・カローデン号 |
HMS Culloden |
74 |
開戦前に座礁 |
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・ミュータイン号 |
HMS Mutine |
16 |
Sloop-of-war、カローデン号救援で戦闘に不参加 |
※フッド提督の従兄弟サムエル・フッド艦長(Vice-Admiral
Sir Samuel Hood, 1st Baronet KB, 1762-1814)
<フランス艦隊>:〜(Franch fleet)
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フランス艦隊の編成:〜(Vice Amiral Bruey's
fleet) |
フランス戦列艦
セント・ヴィンセント 1989 発行 |
・ |
艦名 |
戦列)艦 |
砲 |
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|
・ゲリエ号 |
Guerrier |
74 |
鹵獲 |
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・コンケラン号 |
Conquerant |
74 |
” |
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・スパルシヤート号 |
Spartiate |
74 |
” |
|
・アキロン号 |
Aquilon |
74 |
” |
|
・プープル・スーヴラン号 |
Peuple Souverain |
74 |
” |
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・フランクリン号 |
Franklin |
80 |
” |
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・ロリアン号 |
L'Orient |
120 |
ブリュイ旗艦※ |
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・トナン号 |
Tonnant |
74 |
鹵獲 |
|
・ウールー号 |
Heureux |
80 |
” |
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・メルキュール号 |
Mercure |
74 |
” |
|
・ギヨーム・テル号 |
Guillaume Tell |
80 |
ヴィルヌーブ、脱出 |
|
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・ル・ジェネルー号 |
Le Genereux |
74 |
脱出 |
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|
・ティモレオン号 |
Timoleon |
74 |
座礁、炎上 |
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|
・セリューズ号 |
Serieuse |
36 |
フリゲート、オライオン号が撃沈 |
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・アルテミス号 |
Artemise |
36 |
” 降伏、座礁、炎上 |
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・ジュスティス号 |
Justice |
40 |
” 脱出 |
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・ディヤーヌ号 |
Diane |
40 |
” 脱出 |
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・アレルト号 |
Alerte |
12 |
ブリッグ、脱出 |
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・ライユール号 |
Railleur |
14 |
” 脱出 |
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・エルキュル号 |
Hercule |
17 |
” 破壊 |
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・サラミーヌ号 |
Salamine |
18 |
” 脱出 |
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・その他、砲艦・臼砲艦など多数隻。 |
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※ロリアン号、8/1 爆沈、海軍少将ブリュイ伯爵フランソワ=ポール・ブリュイ・デガリエ、戦死
※(Vice Admiral Francois-Paul Brueys d'Aigalliers, Comte de Brueys, 1753-1798/8/1)。
・ロゼッタ・ストーン
(Rosetta Stone)
ロゼッタ・ストーンは、エジプトのアレクサンドリアから65km東の地中海沿岸にある港湾都市のブハイラ県ロゼッタ(Rosetta,
Beheira)で、1799/7/15にナポレオンがエジプト遠征を行った時、エジプト遠征中のフランス軍兵士ブシャール大尉(Pierre-Francois
Bouchard, 1771-1822)によって発見された石柱。紀元前196年にプトレマイオス5世によってメンフィスで出された勅令が刻まれた石碑の一部。縦114.4cm、横72.3cm、厚さ27.9cm、重量760kg。古代エジプト期の暗色の花崗閃 |
シャンポリオンとヒエログリフ
フランス 1972 発行 |
緑岩でできた石柱。碑文は古代エジプト語の神聖文字(ヒエログリフ)と民衆文字(デモティック)、ギリシア文字の、3種類の文字が刻まれています。同一の文章が3種類の文字で記述されていると早くから推測され、1822年にシャンポリオン(Jean-Francois
Champollion、1790-1832)によって解読されました。これでロゼッタ・ストーンはエジプトのヒエログリフを理解する鍵となり、他の古代エジプト語の記録も解読が可能になりました。1801年にイギリス軍がエジプトに上陸してフランス軍を降伏させ、それ以降本物のロゼッタ・ストーンは英仏のアレクサンドリア協定(Capitulation
of Alexandria, 1801)のもとイギリスの所有物となりました。ロンドンへと持ち込まれた石柱は翌年から大英博物館で一般に公開され、現在でも最も人気を集める展示品です。所有権に関しては、ナポレオン戦争中にフランスからイギリスへと移ったと見なされているも、2003年からはエジプトが返還を求めています。
参考HP〜
・ナイル河流域の地図(アブキール湾は北のナイル河左岸側に有)
・アブキール湾の航空写真
こちらで
・伊賀のルーブル美術館(写真集、ロゼッタ・ストーンのレプリカ有)
・グラヴィナ提督
・チュラッカ艦長
・コリングウッド提督
・ヴィルヌーヴ提督
・サフレン提督
・ブルドネス提督
・ビクター・ヒューズ船長
をお楽しみください。
・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。 令和 R.4/9/20(2022)
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