大航海物語 切手で綴る 大航海時代の帆船
帆 船
Sailing Ship

帆船
Gambia
ティー・クリッパーの快速帆船カティーサーク号

ガンビア 1998 発行


帆船の船首を飾るフィギュア・ヘッド
イギリスの象徴・甲冑姿の女神ブリタニア像を飾る帆船のフィギュア・ヘッド(船首像)
The Patriotic figurehead of Britannia
    Figurehead by Grinling Gibbons     16th Century A British Carrack

ィギ
ュア
・ヘ
ッドのブリタニア女神像




ヘンリ|8世の大型戦艦
ガンビア 2000 発行

中国のジャンク船
18th Century Chinese Junk

コグ船
15th Century A Two-Mastered Cog


アンリ・グラサデュー号
16th Century Henri Grace a Diue

航海者の守護聖人・聖ブレンダンの航海
6th Century St.Brendan & his Monks

ガンビア 2000 発行
MARSHALL ISLANDS
シップメアリーローズ
シップヴィクトリー号
マーシャル 1998 発行
スループ

サモア 1999/3/19 発行
スループ プロヴィデンス号

セントヘレナ 1998/8/25 発行

ブリッグ

セントヘレナ 1998/8/25 発行
ブリガンティン
ブリガンテ
ィン
ネズミ

トリスタンダクーニャ  発行

スクーナー、ラ・アミスタッド号

シェラオーネ 1984 発行・通常切手
バークエンデバー号

セントヘレナ 1998/8/25 発行
カッター

ジャージー 1978 発行
ケッチ

カナダ 1977 発行
ガレー船

レパントの海戦、1571

モナコ 1972 発行
小型ガレーのガリオット

ブルガリア 1980 発行
ジーベック船

スペイン 1964 発行
フェラッカ船

アデン 1964 発行

フランス海軍・2本マスト・スクーナー
Goelette

フランス海軍・2本マスト・コルベット艦
Corvette

ヴィル・ド・パリ号
”Ville de Paris”

フランス海軍のシップ1等戦列艦
3本マスト・3層砲列甲板・104門艦
Le vaisseau de 104 canons


1789 フランス革命200年記念 1989
セント・ヴィンセント 1989/7/7 発行

フランス海軍・3本マスト・フリゲート艦
Frigate 36 canons

フランス海軍・3本マスト・シップ・74門艦
Le vaisseau de 74 canons


全装帆船
  Full Rigged ship

フルリグド・シップ(全装帆船)は3本以上のマストを持ち、そのすべてに横帆(スクウェアセイル)が張られた帆船のことで、18世紀から19世紀初頭に使用されたスクーナー、バーク、バーケンティン、ブリッグなどと区別する意味で、単にシップ(ship)とも呼ばれました。また、シップは一般の帆船ではなく、軍艦のスループやフリゲートの代替としての大型軍艦がシップと呼ばれていました。

バーク
  Bark

18世紀にイギリス王室海軍がそれまでのどの分類にも属さない船に”bark”を使用。クック船長の助言を容れて海軍は平底の石炭運搬船を購入し探検用に転用しました。その船がエンデバーで、3本のマストを持ちすべて横帆の帆船、全艤装(full rigged ship)でした。平らに切り立った船首と船尾全面に窓がある船に改装されました。18世紀の終りまでに”barque”は特殊な型の艤装を施した船を指すようになり、この船には3本(あるいはそれ以上)のマストがあり、
バーク
最後尾のマストに縦帆が、他のマストには横帆がありました。

スクーナー
  Schooner

スクーナーは2本以上のマストに張られた縦帆帆装を特徴とする帆船で、最初にオランダで16世紀から17世紀にかけて用いられ、アメリカ独立戦争の時期に北米で更に発展、日本では幕末に君沢形と呼ばれました。スクーナーは2本以上のマストを持ち、最後部のマストが最も高いか、もしくは全て同じ高さとなっています。最前部のマストが最も高い船をケッチ(Ketch)といい、スクーナーとは分けられています。
スクーナー
伝統的なスクーナーは最前のマストにガフセイルを持ち、まれにガフセイルと同時に、上部に横帆のフォアコースセイルが張られ、横帆を持つスクーナーをスクウェアトップスルスクーナーと呼ばれます。

スループ
  Sloop

スループは18世紀から20世紀まで用いられたフリゲートよりも小型の軍艦のことで、軍艦でない一般のスループとは大きさや帆装が異なるため、特にスループ・オブ・ウォー(sloop of war)とも呼ばれました。一層の砲列甲板に10から20の大砲を搭載して、2本か3本のマスト(帆柱)がありました。マストが2本のものをブリッグ・スループ(brig sloop)、3本のものをシップ・スループ(ship sloop)に分けますが、厳密なマスト形式による区別ではなくマストの数による
スループ
区別で、主に船団護衛艦や沿岸警備艦として用いられました。

ブリッグ
  Brig

ブリッグは2本マストの帆船で、少なくとも一方のマスト(通常は前方)に横帆(square rigged mast)を張る帆船のことで、軍艦の場合は帆の種類にかかわらず2本マストの砲艦がブリッグと呼ばれていました。なお、現代では2本マストに横帆を張る帆船がブリッグと呼ばれています。また、古くはブリガンティンの略称をブリッグ(brig)とした場合もあります。
ブリッグ

ブリガンティン
  Brigantine

ブリガンティンとは2本のマストがあり、そのうちの1本のマストには横帆を備えた帆船のことで、元々はブリガンティンはオールと帆を備えた小さな船のことを指していました。地中海の海賊に好まれ、その名前も盗賊の船を意味するイタリア語ブリガンティーノ(brigantino)から来ています。現代の専門用語におけるブリガンティンは基本的には前檣に横帆と縦帆を備えた帆船であり、2本のマストとも横帆を備えたブリッグと区別されています。
ブリガンティン

コルベット
  Corvette

コルベットは近世から近代にかけて用いられた帆柱が3本の軍艦で、一層の砲甲板を持ち、大きさはフリゲートよりも小さく、18世紀末から19世紀にかけてフリゲート同様に商船の護衛や沿岸警備等に使われました。フリゲートより小さい軍艦のコルベットはスループと似たより小型の戦闘軍艦でした。主な仕事は沿岸部のパトロールでした。戦闘に参加するときは比較的小規模なものか、あるいは大きな艦隊をサポートすることが主務でした。なお、仏には2本マストのコレベットもありました。
2本マストの仏コルベット

フリゲート
  Frigate

フリゲートは軍艦の艦種で、時代により様々な任務や大きさの軍艦に対して使用された名称。帆船時代は戦列艦よりも小型・高速・軽武装で、戦闘や哨戒、護衛などの任務に使用された船。Destroyerを駆逐艦、”Cruiser”を巡洋艦と漢字表記するが、フリゲートの明確な和訳は無く、中国ではフリゲートが「巡防艦」と漢字表記されています。フリゲートの語源となったのは「フレガータ」(fregata)と呼ばれる小型のガレー船で、フレガータは地中海で文書の伝達用などに用いられました。17世紀のイギリスで、このフレガータをもとにした小型
3本マストの仏フリゲート
高速の軍艦が登場してフリゲートと呼ばれました。18世紀半ばに新しいタイプのフリゲートがイギリスやフランスで現れ、近代帆船の等級艦の内、5、6等級艦にあたる小型艦で、勅任艦長(Post-captain)が指揮を執りました。主な任務は哨戒、連絡、通商破壊。戦列を組むような大きな海戦では、戦列艦の補助を主に行いました。初期のフリゲートは砲数は28〜36門で、砲列甲板は単層でした。1790年代後期に設立されたアメリカ海軍の主力は砲数44門の新型フリゲート(Super-frigate)で、やがて米英戦争が勃発するとその高火力と頑丈さが確認され、砲数38門かそれ以下のフリゲートしか保有していないイギリス海軍は優勢状況以外での交戦を禁じました。スーパーフリゲートへ対抗するように大型・重装備化が進み、砲数44〜 56門、二層の砲列甲板を備えたものが出現してきました。大砲の発達により、多数の大砲を並べた戦列艦は、防御に致命的な欠陥がでました。そこでフリゲートに装甲を施すことにより、新たに「装甲艦」が登場しました。装甲艦は徐々に大型化していき、中にはかつての戦列艦を超える大型艦も現れ、戦艦および装甲巡洋艦へと発展していきました。その一方で装甲防御を施さず、装甲艦の補助に回ったフリゲートは「巡航船 cruising-ships」と呼ばれるようになり、それは「巡洋艦」となりました。

戦列艦
  ship of the line Warship

  1等から3等の軍艦は戦列艦とみなされました。
  1、2等艦は3層の砲列甲板にぎっしり大砲を搭載し、
  その上に各所に小口径砲を備えていました。

戦列艦は17世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ諸国で使用された軍艦で、単縦陣の戦列を作って砲撃戦を行うことを主目的としていたので戦列艦と呼ばれました。戦列艦は多数の砲を搭載していましたが、その数は50門から約140門まで、一般的傾向として多数の艦艇を本国から離れた海域で運用するイギリス海軍では戦艦の大きさを切り詰めました。数的に劣勢な大陸国は大型の戦艦
単縦陣の戦列
Line of Battle


セントヘレナ 2005 発行
を好む傾向がありました。オランダ海軍は浅海が主戦場となるため、比較的小型の艦を使わざるをえませんでした。戦列艦の元となったのはガレオン船(galleon)で、ガレオンは戦列艦に比べて少数、小口径の砲を搭載し、軍用にも商用にも使用されていました。帆船の甲板上はマストや索具で占められているので、大砲は少数しか搭載することが出来ないので、帆走軍艦は艦内に大砲を置いて、船体側面にあけた砲門から射撃を行いました。大砲を搭載する甲板は砲列甲板(ガンデッキ、gundeck)と呼ばれ、一般に戦列艦の長さは砲列甲板の全長で表されました。しかし砲門をあければ船体の強度は下がり、その上に発砲の衝撃に耐えることが要求されたため、戦列艦の舷側は非常に分厚い木材で造られました。

小型の2層甲板艦は帆走性能が優れており、経済性も高かったが強度が不足しがちで大型化に限界があり、戦力としては3層艦に引けをとりました。反対に3層艦はコストや操縦性に難がある上、荒天時には最下層の砲門が波に晒されて使用不能になるという欠点も抱えていました。しかし最上甲板の舷側が高いために接近戦時に、2層艦の甲板を上から一方的に砲撃できるという利点もあり、海戦時においては2層艦の1.5倍の戦力を持つと考えられていました。

イギリス海軍の6分類:〜(Royal Navy)
・1等艦(First rate Ship of the Line)、砲列甲板は3層
・2等艦(Second rate Ship of the Line)、砲列甲板は3層
・3等艦(Third fate Ship of the Line)、砲列甲板は2層
・4等艦(46〜60-gun Ship)、砲列甲板は2層
・フリゲート(Frigate)、5等フリゲート、6等フリゲート
・5等フリゲート艦(32〜44-gun Ship)、砲列甲板は1〜2層
・6等フリゲート艦(20〜28-gun Ship)砲列甲板は1〜2層
・スループ(等級なし、Sloop-of-war)
12ポンド大砲

ジブラルタル 1987/6/1 発行

1等艦
  First rate Ship of the Line
、大砲100門以上
  1等艦はイギリス海軍が3層の砲列甲板に
  100門以上の大砲を搭載した
  最大級の戦列艦で、大砲は
     上層に12ポンド砲を装備
     中層に24ポンド砲を、
     下層に32ポンド砲を、
     その他に船首楼や後甲板に小口径砲やカロネードを装備。

2等艦
  Second rate Ship of the Line
、大砲90〜98門
  2等艦は3層の砲列甲板に90〜98門の大砲を
  搭載した戦列艦、大砲は
     上層に12ポンド砲を装備
     中層に18ポンド砲を、
     下層に32ポンド砲を、
     その他に船首楼や後甲板に小口径砲やカロネードを装備。
Engrish Three Decker
1782年当時の3層甲板軍艦


砲列甲板が3重構造

ドミニカ 1976/4/12 発行

3等艦
  Third fate Ship of the Line
、大砲64〜80門、乗員:500〜720人
  3等艦は後に戦列艦で最も多用される74門艦を含んでいたため、
  特に一般的な等級となり、より大きな艦より操艦が容易で、
  なおかつ1等艦に対抗しうる最低限の火力を保持していて、
  運用経費も比較的安価で、砲列甲板は2層。

4等艦
  46〜60-gun Ship
、大砲46〜60門
  4等艦は46〜60門の大砲を積んだ戦列艦で、
  この砲門数は1817年まで変更されなかったが、
  1756年以降は50門以下の軍艦を戦列に加えるのは
  危険だと考えられるようになった。
  しかし50門艦は北アメリカ沿岸の大型艦の活動が
  難しい海域での戦闘では依然有効だったので
  7年戦争やアメリカ独立戦争の間も建造が続けられた。
  しかしフランス革命からナポレオン戦争に
  かけての時期にはその任務でも使われなくなり、
  同様に60門艦も64門3等艦に吸収された。
Engrish Two Decker
1600年代当時の2層甲板軍艦


砲列甲板が2重構造
セント・クリストファー
ネヴィス・アンギラ 1970/2/1 発行

フリゲート
  Frigate

    5等フリゲート
    6等フリゲート

5等艦
  32〜44-gun Ship

  大砲32〜44門、700〜1,450屯、乗員200〜300人
  5等艦は1層の砲列甲板を持つ32から44門の大砲を積んだ帆走フリゲ
  ートで、5等艦は艦隊の眼や単独での外洋任務に活用され、武装は
  32ポンドまたは36ポンド砲を38-40門、時には18ポンド砲44門など
  多種多様だった。5等艦勤務は魅力的な配置だと考えられ、しばしば
  通商破壊に用いられ、捕獲賞金の可能性を意味していた。5等フリゲ
  ートは扱いやすさと火力を兼ね備えていて、理論的にはより大型の
  敵に対しては裏をかき、自分より小型の敵には火力で圧倒することが
  可能だと考えられていた。そのためこの種のフリゲートは後の巡洋戦
  艦のように警備や交戦国海運を混乱させるのに使用された。

6等艦
  20〜28-gun Ship
、20〜28門、450〜550屯、乗員150〜240人
  6等艦はイギリス海軍がかつて使用していた9ポンド砲を20ないし28門
信号弾ピストル、1796

英領インド洋 2005 発行
  搭載する軍艦で、1隻の28門艦には
   士官が18名配置されていて、
   主要な役職としては艦長と海尉が2人、
   准士官として航海長、船医、主計長、掌砲長、掌帆長、
   士官候補生4人
   残りの乗員は水兵と海兵隊員

  6等艦はさらに2つに分類できる。
  大型のものはフリゲートである。ナポレオン戦争での経験からこの種の艦は5等フリゲートと
   同様の任務をこなすのには小さすぎると考えられるようになり、次第に消滅していった。
   これら6等フリゲートは後に「まぬけなフリゲート」(jackass frigate)と称されるようになった。
  小型の艦は「ポスト・シップ」(post-ships)として知られ、
  6等艦は国王の勅許を受けた勅任艦長(Post Captain)が指揮をとると
  定められている艦の中で一番小さな艦種。

・カッター
  Cutter

カッターは、1本マストの小型帆船。マストの前後に縦帆を備え、バウスプリットに1ないし2枚の前帆を持つ。帆走カッターは、帆船としてもっとも小型のもので、手漕ぎカッターにも帆装する場合があるが、それとは異なり、帆船としてのカッターは船室などを有する。1本マストの帆装としては伝統的なスループ帆装がある。
(Packet boat:郵便船)
なお、大型の船に搭載されるボートをカッター、もしくはカッターボートという。日本語で「短艇」といい、人員や軽貨物の運搬に使用し、オールによる手漕ぎ推進が一般的。
カッター帆船

First Goverment Packet 1778

・ケッチ
  Ketch

ケッチは、漁船や軍艦、交易船として用いられた2本マストの帆船で、排水量は100〜300屯前後、全長は10m〜30mほど。ケッチはバランスが良く小さいために操作も簡単なメインセイルを持つため、長距離クルーザーの帆装として人気が有。また、風上に向かえるだけでなく、舵を使用せずミズンセイルとジブだけでの操船も可能。
・ボムケッチ
 (Bomb Ketch)
ケッチ帆船

Mackinaw boat (Bateau mackinaw)
ボムケッチ(爆弾ケッチ)は、臼砲艦(Bomb vessel)とも呼ばれ、1682年にフランス海軍が初めて建造。フォアマストを取り除いた帆装からケッチと名づけられた。沿岸を砲撃するための臼砲を装備しており、また自衛のための小型のカノン砲を数門有していた。臼砲艦は時代が下るとフォアマストを持ったシップ艤装となったため、厳密にはケッチではなくなり、19世紀半ばには装甲艦が沿岸艦砲射撃を行うようになったため廃れた。

・ガレー
  Galley ship

ガレー船は、帆と人力で漕ぐ櫂(かい、オール)を持つ軍艦。古代に出現し、地形が複雑で風向きの安定しない地中海やバルト海では19世紀初頭まで使用された。ガレー船の特徴は両舷に数多く備えられた櫂で、風力だけを利用する帆船と比べると、急な加速・減速・回頭を行なうような運動性に優れていて軍艦に利用された。地中海では風が大西洋に比べて弱くまた不安定なので、ガレー船が発達した。ローマの軍船が良く知られている。フェニキア人レバノン杉をガレー船の建材に利用したフェニキア船で地中海全域に進出した。それはケッチのような
奴隷漕手のローマの軍船

リビア 1921 発行
1〜2本のマストを持ち、フリュートのような丸い船底を持っていた。重量はそれまでの船より50〜300屯ほど重く、横転防止用のスタビライザー(安定させるもの)を備えていた。

・ガリオット
  Galiot
(small galley)小型のガレー船
地中海で用いられたガリオット船は小型のガレー船で、1本あるいは2本のマストと20本程度の櫂を持ち、帆と櫂の両方を推進力とした。軍艦として運用する場合は一般的に、口径の小さい大砲を2〜10門、兵士を50〜150人ほど乗せていた。 17世紀以降のネーデルラント連邦共和国で用いられたガリオット船は別のタイプで、ケッチのような1〜2本のマストを持ち、フリュートのような丸い船底を持っていた。重量はそれまでの船より50〜300屯ほど重く横転防止用スタビライザー(安定させるものフィンスタビライザー:Fin Stabilizer)
小型ガレーのガリオット
を備えていた。それらの多くはドイツとの交易に用いられた。フランスのガリオット船はコルベット程度の大きさで2本のマストを持つ臼砲艦の別タイプだった。

・ジーベック
  Xebec

ジーベック船は16〜19世紀ごろの地中海で主に交易目的に使用された帆船で、帆と櫂の両方で推進力を得る手段としており、アルジェリア私掠船のバルバリア海賊(Barbary pirates)が使うガレー船と似ていた。初期のジーベックは2本マストのものが多いも、後のものは3本マストが多い。帆の種類は初期のものは最前列フォアマスト(Fore-mast)中央メインマス(Main mast)最後尾ミズンマスト(Mizzen mast)もラテンセイル(Lateen sail:三角帆)のみを持つものが多い
ジーベック帆船

スペイン 1964 発行
も、後期のものは横帆を持つものも多い。大きく突き出した船首と船尾、船体からはみ出すように傾斜したマストが特徴的。18〜19世紀初頭の商船のジーベック船は船体も大きく、3本マストの最前列フォア
マストは横帆、残りにラテンセイルが張られた。この横帆を持つ特徴でフェラッカとジーベックは区別された。またフォアマストから船首前方へ伸びている棒バウスプリット(Bowsprit)に向けてマストの間に斜めに張られたロープに置かれた三角形の帆にステイセイル(Staysail)が張られた。軍船や海賊船としては依然として3本マストにラテンセイルのものが使われたため、このタイプのジーベックをポラッカジーベック(Polacca Xebec)とも呼んだ。また、ヨーロッパの海軍で使用されたジーベックには全て横帆が張られており、ジーベックフリゲート(Zebec Frigate)と呼ばれ、重量はそれまでの船より50〜300屯ほど重く、横転防止用の安定化装置スタビライザー(Stabilizer) ジーベック帆船

ブルガリア 1986 発行
を備えていた。ヨーロッパの船乗りは遠洋で私掠船としてジーベックを使用し、その用途のため追跡対象となる船より高速での航行のために船腹を狭くするも、広い帆面積を得るためにはそれに応じた広さの船腹が必要であった。ジーベックのラテンセイルは、追跡や逃亡において利点があり、凪の状態でも航行が可能であった。海賊船として用いられるときは、サイズによって300〜400人の水夫を乗せ、16〜40の旧式な砲塔(Gun Turret)の砲郭(Casemate:ケースメイト)を備え、また通常時には商品の運搬にも用いられた。

・フェラッカ
  Felucca

フェラッカは、紅海やマルタ島近海を含む地中海東部で使用される伝統的な木造の帆船。特にナイル川流域のエジプトスーダンイラクで使用される。帆装は多くは1本あるいは2本のマストとラテンセイル(Lateen sail:三角帆)で構成される。通常、2,3人の船員で10人の乗客を運ぶことが可能。モーターボートやフェリーの登場で帆船は時代遅れになりつつあるも、エジプトのアスワンやルクソールといったナイル川流域の都市では、現在も交通手段として利用されている。
フェラッカ帆船

アデン 1964 発行
モーターボートと比較して、フェラッカは静かで穏やかなので観光客の人気も高い。

砲列甲板(Gun deck、ガンデッキ)
砲列甲板は水兵達の生活の場だった。水兵達は大砲の間に設置されたテーブルで食事し、ハンモックを吊るして寝ていた。船の舵は普通は船尾にあったので、舵を操舵輪につながった綱を回したり、もしくは直接、舵の柄を動かして制御していた。そのため戦列艦の艦長などは通常は艦尾で指揮をとった。一般に船尾は前方に比べて甲板が1層多くなっていて、後甲板(クウォーターデッキ:quarterdeck)と呼ばれていた。戦列艦はここに小口径砲やカロネード砲(Carronade)を装備していた。
闘う砲列甲板の図

マン島 2005 発行
またクウォーターデッキは士官の別名だった。一方で艦尾に設けられた艦長や提督の豪華な個室は防御上の弱点だった。これらの部屋には窓ガラスが多用されている上に、艦内の構造上、首尾線方向の砲弾をさえぎるものが少なかったため、艦尾に砲撃を受けると致命的な被害が出ることが多かった。戦列艦の建造にはオーク材やチーク材が使用された。軍艦の木材は重要な戦略物資であり、特に本国の面積と釣り合わない大規模な艦隊をもっていたイギリスは、帆船のマスト材などは早くに使い切って、スウェーデンなどの北欧から輸入していたのだった。 木材の海上輸送

スウェーデン  発行

性能諸元(イギリス、1719年の寸法規定など)
100門艦(1等) 90門艦(2等) 74門艦(3等) 80門艦(3等)
甲板長 53.0m 50.0m 55.1m 59.8m
全幅 15.2m 14.4m 14.1m 14.9m
喫水 6.1m 5.7m 6.8m 7.5m
屯数 2,000t以上 2,000t前後 1,500tons(1747)
仏Conqueror
1,754t(1765)
仏Saint-Esprit
武装 100門 90門 74門 80門
上砲列 12pds(5kg)砲28門 9pds(4kg)砲26門 18pds(8kg)砲30門 24pds(11kg)砲32門
中砲列 24pds(11kg)砲28門 18pds(8kg)砲26門
下砲列 32pds(15kg)砲28門 32pds(15kg)砲26門 36pds(16kg)砲28門 36pds(16kg)砲30門
後甲板 6pds(3kg)砲12門 6pds(3kg)砲10門
艦首楼 6pds(3kg)砲4門 6pds(3kg)砲2門
その他 乗員800人以上 乗員約750人 8pds(4kg)砲16門 18pds(8kg)砲18門

70門艦(3等) 60門艦(4等) 50門艦(4等) 64門艦(3等)
甲板長 46.0m 43.9m 40.8m 48m
全幅 12.6m 11.9m 11.0m 13.6m
喫水 5.3m 5.0m 4.6m 5.7m
屯数 1364tons1764
(HMS Asia)
武装 70門 60門 50門 64門
上砲列 12pds(5kg)砲26門 9pds(4kg)砲26門 9pds(4kg)砲22門 18pds(8kg)砲26門
下砲列 24pds(11kg)砲26門 24pds(11kg)砲24門 18pds(8kg)砲22門 24pds(11kg)砲26門
後甲板 6pds(3kg)砲14門 6pds(3kg)砲8門 6pds(3kg)砲4門 4pds(2kg)砲10門
艦首楼 6pds(3kg)砲4門 6pds(3kg)砲2門 6pds(3kg)砲2門 9pds(4kg)砲2門

38門艦(5等フリゲート) 24門艦(6等フリゲート) 18門艦スループ ブリガンティン
甲板長 40.8m(全長) 28.45m 30m(全長) 27m
全幅 10.55m 9.78m 9.30m 6.63m
喫水 3.5m 3.4m 2.57m
屯数 400tons1799
(USS Boston)
511tons1751
(HMS Dolphin)
385tons1808
(HMS Pelorus)
144tons1847
(USS Advance)
武装 38門 24門 18門艦
上砲列 12pds砲26門 12pds砲20門 32pds(15kg)砲16門
下砲列 8pds砲12門 9pds砲2門
後甲板 3pds砲2門 6pds(2.7 kg) 砲2門
その他 乗員220人 乗員160人 乗員121人 乗員士官17人
1670年代に制定されたイギリス寸法規定の最初の制度では3等艦は砲70門、2等艦は90門、そして4等艦は54-60門と定められていました。

3層甲板の戦艦(Ship)で、
・ローワーデッキ(下甲板の砲列甲板)に、42ポンド大砲を30門、
・ミドルデッキ(中甲板の砲列甲板)に、24ポンド大砲を28門、
・アッパーデッキ(上甲板の砲列甲板)に、12ポンド大砲を30門、
・クォターデッキ(後甲板の砲列甲板)に、6ポンド大砲を10門、
・フォアーキャッスル(前甲板船員室)に、6ポンド大砲を2門と
 100門もの大砲を両側の舷側に備えていました。
また、クォターデッキには士官室がありましたし、
     ガンデッキには水兵が居住していました。
17世紀の船の搭載砲と砲弾

クリストファーネヴィスアンギラ 1970 発行
     海兵隊員はクォターデッキとガンデッキの間の部屋に居住し、
     船長は船尾楼の一段高い所に居室を持っていました。

・参考:〜:イギリス海軍の軍艦の区分

▼雑学:〜:
帆船(軍艦)の乗組員

ポルトガル 1983/2/23 発行(切手帳)
2つの船長:〜
・キャプテン(Captain)は、
  もとは軍団長のことで、
  主に軍船または軍に徴用された商船の船長を指していました。
帆船の船長(艦長)

ポルトガル 1983/2/23 発行
帆船の水兵(水夫)

Seaman Circa 1800
英領ヴァージン 1972 発行
・マスター(Master)は、
  商船の船長で船の持ち分の一部を保有し、
  自ら船員を指揮して海上貿易に携わってい
  ました。スキッパー(Skipper)とも呼称。

2種類の船長:〜
・良家出身の艦長
  (ジェントルマン・キャップテン:Gentleman Captain)
・叩き上げ(水夫上がり)の艦長
  (ターポリン・キャップテン:Tarpoulin Captain)


3つの水兵:〜
・上級水兵
 (エーブル・シ−マン:Able Seaman, A.B.)
  経験を積んだ熟練者の水兵
・一般水兵
 (オーディナリー・シーマン:Ordinary seaman)
  ある程度の経験を積んだ者、商船などから
  徴募された水夫
・おかもの(ランドスマン:Landsman)
  強制徴募兵とかで、全く船上経験の無い者
帆船の水兵(水夫)

3つの等級:〜
(1)准士官 (ワラント・オフィサー:Warrant officer)
・航海長 (マスター:Master)
  航海全般を担当する准士官の最高位で、水兵からの叩き上げが就任するほか、
  特定の海域に詳しい商船の士官を雇う場合もある。当然ベテラン中のベテランであり、
  生半可な若い海尉よりも艦内で重きをなしていた。准士官だが、給与は下級の海尉以上で、
  海尉と同様の士官室(ワードルーム:Wardroom)待遇を受けていた
・掌帆長 (ボートスウェイン:Boatswain)
  甲板長、水夫長ともいう
  水兵からの叩き上げ准士官で、帆や索具全般を管理する責任者
・操舵長 (クォターマスター:Quartermaster)
  船長または航海長の下で舵の舵輪を操作する責任者
・砲術長 (ガンナー:Gunner)
  水兵からの叩き上げで、火器全般を管理する責任者
  戦闘時には火薬庫で装薬を準備する
・士官(少尉)候補生 (ミッドシップマン:Midshipman)
  士官になる事を目指す者達(Young Gentleman)、見習将校ともいう
  多くは12〜13才で海軍に入り、
  19才で海尉任官試験を受験するも、なかなか合格できず、
  30才過ぎても「若い紳士」のままでいる者もいた
  “洟垂れ小僧”(スノッティー:snotty)、
  “イボ小僧”(ワート:wart)などと呼ばれた
・航海士 (マスターズ・メート:Master's mate)
  航海長を補佐する下級の准士官で、
  航海長が乗艦しない小艦艇では航海長と同等の職務を遂行
  航海士は、士官候補生と同じく海尉任官の登竜門とされていた
  候補生よりも給料が良かったので、資格のあるベテラン候補生は、
  航海士を兼務することが多かった
・帆布長 (セールメーカー:Sailmaker)
ムチを持つ甲板長、1805

英領インド洋 2005 発行

(2)士官待遇の専門職
・主計長   (パーサー:Purser)
・船大工長 (カーペンター:Carpenter)
・船  医  (サージャン:Surgeon)
・書  記  (クラーク:Clerk)

(3)下士官 (ペティ・オフィサー:Petty officer)
  古参の水兵が任命され、准士官のもとで専門的な任務をこなす
・砲手長 (ガン・キャップテン:Gun captain)
       砲術長の下で各砲を担当する
・掌砲手 (ガンナーズ・メート:Gunner's mate)
・操舵手 (クォターマスターズ・メート:Quartermaster's mate)
・掌帆手 (ボートスワンズ・メート:Boatswain's mate)
・武器長 (アーマラー:Armourer)
・衛兵長 (アームズ・マスター:Master at arms)
       艦内の巡視、犯罪捜査をする
・艇 長 (コックス:Coxswain)
       艦長用ボート(ギグ)の責任者、(コックス Cox)
帆船の砲手

タークスカイコス 1985 発行
下士官待遇の専門職
・桶大工 (クーパー:Cooper)
・料理長 (コック:Cook)
・精肉長 (ブッチャー:Butcher)
・精鳥長 (ポールターラー:Poulterer)
・整髪長 (バーバー:Barber)
・仕立長 (テーラー:Tailor)
     操舵手
ピトケーン 1992/12/7 発行

18世紀の戦艦(帆船)の断面図と大砲の配置図

タークスカイコス 1985/4/17 発行

参考:〜
・現在のイギリス軍隊の階級区分
. No 階級 海軍
Royal Navy
海兵隊
Royal Marines
陸軍
British Army
空軍
Royal Air Force
士官 (OFFICERS)
 . 将 官 
将官 OF-10 元帥 Admiral of the Fleet - Field Marshal Marshal of
the Royal Air Force
OF-9 大将 Admiral General General Air Chief Marshal
OF-8 中将 Vice Admiral Lieutenant General Lieutenant General Air Marshal
OF-7 少将 Rear Admiral Major General Major General Air Vice Marshal
佐 官
佐官 OF-6 准将
(代将)
Commodore Brigadier Brigadier Air Commodore
OF-5 大佐 Captain Colonel Colonel Group Captain
OF-4 中佐 Commander Lieutenant Colonel Lieutenant Colonel Wing Commander
OF-3 少佐 Lieutenant Commander Major Major Squadron Leader
. 尉 官
尉官 OF-2 大尉 Lieutenant Captain Captain Flight Lieutenant
OF-1 中尉 Sub-Lieutenant Lieutenant Lieutenant Flying Officer
OF-1 少尉 Sub-Lieutenant 2nd Lieutenant 2nd Lieutenant Pilot Officer
見習士官
. OF(D) 士官
候補生
Midshipman - Officer Designate Officer Designate
その他の階級 (OTHER RANKS)
准士官 (Warrant Officers)
准士官 OR-9 一等
准尉
Warrant Officer
Class 1
Warrant Officer
Class 1
Warrant Officer
Class 1
Warrant Officer
(准尉)
OR-8 二等
准尉
Warrant Officer
Class 2
Warrant Officer
Class 2
Warrant Officer
Class 2
-
下士官 . 海軍下士官
(Senior Ratings)
上級下士官
(Senior Non-Commissioned Officers)
OR-7 上等
兵曹
Chief Petty Officer Colour Sergeant
(曹長)
Staff Sergeant
(曹長)
Flight Sergeant /
Chief Technician
OR-6 兵曹 Petty Officer Sergeant
(軍曹)
Sergeant
(軍曹)
Sergeant
(軍曹)
. 海軍兵
(Junior Ratings)
下級下士官
(Junior Non-Commissioned Officers)
OR-4 水兵長 Leading Rate Corporal
(伍長)
Corporal
(伍長)
Corporal
(伍長)
OR-3 - - - Lance Corpora -
 . 兵 (Unranked Personnel)
OR-2 一等
水兵
Able Rate Marine Private
Classes 1-3
Junior Technician /
Leading Aircraftman /
Senior Aircraftman
OR-1 - - - Private
Class 4
Junior Aircraftman

・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。   2010/3/30, 11/7/7、12/8/22、令和 R.3/10/20(2021)

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