大航海物語 | 大航海時代 と 新世界の産物 (食料)
キャッサバ Cassava |
参考資料 |
葉 | キャッサバ ガンビア 1973/10/15 発行 |
根 |
粉ひき |
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料理 |
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工場 トーゴ 1972/6/30 発行 |
・キャッサバ:〜:南アメリカ(ブラジル南部とパラグアイ付近)原産 (Cassava) 別名:マニオク、マンジョカ 英名:Cassava 学名:Manihot esculenta Crantz 和名:イモノキ(芋の木)
栽培はとても簡単で、茎を地中に挿すだけで発根し、そのまま生育します。 作付面積あたりのカロリー生産量はあらゆるイモ類、穀類より多くデンプン質の生産効率は高いも、食用とするためには毒抜き処理が必要なことや、毒抜きのために皮や芯を除去した芋はその場で加工しなければ腐ってしまうなど、利用の制約が大きい作物です。利用範囲は広く、葉を発酵させて毒抜きし飼料として利用したり、アルコール発酵によりバイオ燃料(バイオマスエタノール)を製造するなどの用途も注目を浴びています。農作物としては、悪環境下(乾燥地、酸性土壌、貧栄養土壌)でも生育可能など、これまで農地とされなかった場所での栽培ができ、「食糧問題」や「温暖化問題」の解決への期待が大きい。なお、熱帯の都市では緑地帯の植え込みにも利用され、室内での観葉植物としても利用価値が有。観賞用の斑入りの葉の品種も有。 品種は大きく分けて、苦味種と甘味種が有。 苦味種は、シアン化合物(青酸配糖体)のリナマリン(linamarin) とロトストラリン(lotaustralin)を外皮に多く含むも、大きな塊根を作るため、デンプン源作物として栽培されます。甘味種は、毒抜きを行いふかしたり茹でたりすることで、食用にされます。味と食感は甘味の少ないサツマイモに似ていす。 生産は、2002年時点の全世界の生産量は1億8,000万トン(2億7676万トン、2013)で、穀物以外のヒトの食料用のデンプン源作物(いも類など)としてはジャガイモに続いて世界第2位。州別ではアフリカ州が1/2強、アジア州が1/4強を占め、残りが南アメリカ州です。
他のイモ類と比較すると、同年における ・ジャガイモの全世界生産量は3億1,000万トン(3億7,645万トン、2013) ・サツマイモは1億4,000万トン(1億311万トン、2013) ・ヤムイモは4,000万トン ・タロイモは900万トン(2002)。 現在栽培されているキャッサバの原型となったことが分かっている亜種(M. e. flabellifolia)の分布は中央ブラジル西部を中心としており、ここで少なくとも1万年前には栽培が始ました。しかし種全体としてはブラジル南部とパラグアイのあたりで発生したらしい。現存するキャッサバの全ては栽培種を祖先としています。メキシコのタバスコ州のサンアンドレス遺跡から出土したキャッサバの花粉から、6,600年前までにはそこでキャッサバが生育していたことが分かっています。現存する最も古いキャッサバ栽培の証拠は、エルサルバドルにある1,400年前のマヤ遺跡ホヤ・デ・セレンで見つかりました。食料用の作物としての有用性から、スペインによるアメリカ大陸の植民地化が始まる15世紀末までには南アメリカ北部、中央アメリカ南部、西インド諸島の人々の主食となっており、モチェ文化の鐙型注口土器など、コロンブス以前に作られた工芸品のモチーフともされました。スペイン人とポルトガル人による植民地化後も栽培が続けられました。 17世紀に奴隷貿易が盛んになると、アフリカから新大陸までの月単位を要する輸送期間、奴隷を船内で生かしておく必要があって、ブラジルを支配していたポルトガル人は栽培が容易なキャッサバを奴隷貿易用の食料として採用し、アフリカを中心に全世界に広めました。 ブラジル先住民はキャッサバやトウモロコシを主食としているも、ポルトガル人が米を導入し、ブラジルでは17世紀頃初めて栽培され、キャッサバやトウモロコシと共にブラジル人の主食となっていきました。地域によるも、現在もキャッサバはブラジル人の食生活に欠かせない食材です。また、ブラジル以外の南米諸国では 「ユカ」 と呼ばれ、アマゾン川流域を中心に重要な食材となっています。 加工:〜 ・毒抜き 有毒品種を含むキャッサバを安全に食べるために様々な方法があり、5ッに大別されます。 (1).毒性が低い品種を選ぶ 甘味種の有毒な皮や芯を除くやり方で、生食されることも多い (2).水溶性である青酸配糖体を水に溶かして除く アフリカの熱帯域で見られるやり方で、芋を加熱してから小さく切り水にさらす方法 (3).青酸配糖体をキャッサバの細胞内酵素で分解 南米でよく見られ、生芋をすり潰して一晩置き絞って除毒 (4).青酸配糖体を微生物が持つ酵素で分解 現在工業的な除毒法としても、伝統的な方法としても多く利用されている 好気発酵や嫌気発酵によって除毒し、多種多様なやり方が知られている (5).青酸配糖体を加熱により半分以下にする 除毒法として不完全。 料理は、キャッサバが栽培されている地域では、甘味種は根菜として扱われ、調理法は蒸す、茹でる、揚げるなど。薄くスライスしたキャッサバを揚げて、キャッサバチップスも作られます。アフリカでは火を通したキャッサバをつぶしてウガリやフフが作られます。ブラジルでは、キャッサバの粉を炒めたファリーニャ(「製粉」という意味)といわれる粉を香ばしい食材として用いたり、同じくキャッサバの粉をバターやきざみベーコンで炒めたファロファ(farofa)を肉料理のつけあわせによく添えます。また、キャッサバの粉を用いたパン(例:ブラジルのポン・デ・ケイジョ、ボリビアのクニャペやパラグアイのチパ)など、キャッサバ粉を用いた料理が庶民の食べ物として親しまれています。根茎から製造したデンプンはタピオカと呼ばれ、球状の「タピオカパール」に加工してデザートの材料や飲み物のトッピングとして使われます。 工業原料としての利用は、東南アジア(タイが主要国)などで栽培されたキャッサバは乾燥工程を経てキャッサバチップとして中国などに輸出され、その後、中国では発酵工程を経てエタノール(バイオエタノール)となります。そのエタノールを原料に氷酢酸とエステル化した酢酸エチルが大量に生産されています(約80万MT/年)。中国で生産された酢酸エチルは年間約30万MT程度海外に輸出されており、有機化学分野では貴重な外貨獲得手段となっています。 ・ユカ Yucca 別名:キャッサバ(Cassava) デンプンを粒状にして乾燥させた物がタピオカ ユカは日本での観葉植物のユッカ(リュウゼツラン科)と混同されていますが、マニホットの一種で、マニホットはブラジルでの呼び名マニオク(manioc、学名:Manihot esculenta、別名:キャッサバ、タピオカ、イモノキ)に由来。ブラジル原産の常緑低木で、芋のようにふくれた根っこから良質なデンプンがとれます。簡単に増やすことができ、植え付けてから1年で収穫できる大きさになるので、熱帯各地では食用作物として広く栽培されています。根っこには青酸が含まれておりそのままでは食用にできず、水にさらしてデンプンのみを採り出して利用します。その精製したデンプンを粒状にして乾燥させた物がいわゆるタピオカです。マニホットは作物としての趣の強い植物ですが、斑入りのマニホット・バリエガタのように葉が美しく鑑賞に適した品種もあり、日本では観葉植物として出回っています。 参考HP:〜 ・キャッサバの写真 ・キャッサバ畑の写真 ・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。 2019/10/23 |