絶滅危惧種(ロシア)毛皮採取の動物

ホッキョクグマ
  Polar Bear

CCCP
白クマの親子

World Wildlife Fund
世界野生生物基金記念

ソ連  1987/3/25 発行

ホッキョクグマ
  Polar Bear

   和名:北極熊、白熊(シロクマ)
   英名:ポーラー・ベア(Polar Bear)
   学名:ウルサスメリチナス(Ursus maritimus Phipps, 1774)
分類:〜動物界(Animalia):脊索動物門(Chordata):脊椎動物亜門( Vertebrata):哺乳綱(Mammalia):ネコ目(Carnivora):クマ科(Ursidae):クマ亜科(Ursinae):クマ属(Ursus):ホッキョクグマ(U. maritimus)。和名はホッキョクグマですが、俗にシロクマと呼ばれることも多く、日本初のホッキョクグマは、1902(明治35)年に恩賜上野動物園で飼育されました。その時の上野動物園には新潟県で捕獲されたアルビノの白いツキノワグマを飼育していて、それを「シロクマ」と呼んでいました。そのため、北極の白いクマの方には「ホッキョクグマ」という和名を付けました。

ホッキョクグマの分布は北アメリカ大陸北部とユーラシア大陸北部の北極圏で、主に北極点を中心とした北極海の氷の上に住んでおり、カナダやアメリカ(アラスカ州)、デンマーク領のグリーンランド、ノルウェー、ロシア(フランツァ・ヨシファ・ランド)などの沿岸地域の流氷が流れ着くことのできる所でも見られます。北極海の沿岸海域を歩き回り、大きな前足には小さな水かきが付いていて、その足を使って泳ぎます。氷の上に乗って移動し、陸地から数百kmの沖合を泳いでいるのを目撃されています。地球上で最も寒い環境に生きる動物の一種で、保温効果のある厚い体毛で守られ、その下には脂肪の保温層を持っています。足裏にも毛が生えており、冷たい地面から足が守られ、氷上でもふんばりがきき、真っ白な毛色は雪と氷ばかりの周囲に溶け込む擬態となっていますが、体毛の下の皮膚は黒く、太陽熱をより多く吸収できます。全身が白い体毛に覆われているように見えるため、シロクマ(白熊)とも呼ばれれます。多くの哺乳類の体毛がたとえ白色であっても光を透過しないのに対し、ホッキョクグマの体毛は光を透過し、内部が空洞になった特殊な構造のために、散乱光によって白く輝いて見えます。ホッキョクグマの透明の体毛は陽光の通過を妨げず奥にある皮膚にまで届き熱をもたらします。もたらされた熱はぶ厚い脂肪層と体毛に保護され、容易に失われることはなく、それに加え体毛内の空洞も蓄熱の役割を果たすという巧みな保温機構を成立させています。体温が殆ど外に逃げないため、体から輻射される赤外線の量が非常に少なく、その特性から、赤外線カメラによる空中撮影の時は雪の反射光に遮られるため、ほぼその姿を捉えられないことが知られています。なお、動物園などに飼育されている個体の場合、体毛の空洞に汚れが入り込むことで黄色っぽく変色したり、ときには空洞内に藻が発生し緑みがかかった色になってしまうことがあります。

体長はオス250〜300cm、体高(肩の高さ)160cm。体重300〜800kg、クマ科では最大種で、オスはネコ科最大の動物であるシベリアトラの2倍もの重さになります。これまで報告されている中で最大のものは1960年に北西アラスカのコツェブー湾で捕獲されたオスで、体重は1002kgもありました。これに対してメスのホッキョクグマはオスの半分ぐらいしかなく、全長200〜250cm、体重150〜300kg程度です。生息地によっても大きさに違いがあり、ロシアのチュクチ海に生息する個体群が最も大型化する傾向があります。メスは雪中に深い巣穴を掘ります。保温効果のある巣穴が北極の厳しい自然から体を守ります。冬に出産し、通常2頭の子供を産み、子供は28ヵ月を母親と過ごし、極北で生き残る術を学びます。餌がないときには子グマを襲って捕食する単独行動のオスとは別行動をとります。交尾相手のメスをめぐり、オス同士が争うこともあり、この争いは相手の殺害が目的ではなく、威嚇を重視したものでレスリングに近い動きをします。なお、子供の2頭に1頭は生後1年以内に死亡することが多く、この中にはホッキョクグマのオスの成獣に捕食される個体も多く、そのため子グマをつれたメスはオスを極端に恐れ警戒します。

雑食獣であるクマの中で最も肉食性が強い種であり、ヒグマに比べ歯がより特殊変化しています。アザラシ(主にワモンアザラシ、次いでアゴヒゲアザラシ。時にズキンアザラシやタテゴトアザラシも捕食)を主食とする他、魚類、鳥類やその卵、イッカクやシロイルカなどの哺乳類、クジラ等の動物の死骸に加え、氷の溶ける季節には植物(コンブ、スゲ、イチゴ等)も食べます。ホッキョクグマは肝臓に高濃度のビタミンAを含有しており、これを人間が口にすると死亡することもあり、北極圏に住むイヌイット達の間では、ホッキョクグマの肝臓は食べてはならないと伝えられており、彼らはソリ用のイヌにも食べさせません。ホッキョクグマの肉には繊毛虫などの寄生虫が集っている場合が多く、米軍のサバイバルマニュアル等において、危険な食物として扱われています。そしてそれらの脂肪を冬に多く摂取して、体の中に貯蔵し、食べ物の少ない夏に備えます。(一説には一匹のアザラシで半年間飢えをしのぐことが出来るとも言われています)。ホッキョクグマは獲物の食べ残しを、そのまま捨て置いていきます。そしてこれらは他の若い狩りの経験の少ないホッキョクグマやホッキョクギツネなどの餌になります。近年の研究では、北極圏における海氷の減少に伴い、比較的南方に棲む群から生息数の減少が観測されており、このまま地球温暖化が進行すると北極圏全体の個体が危機に晒されるだろうと警告されています。また南下したとしてもヒグマ等との競争に弱いと見られ、絶滅の危険性が指摘されています。近年では温暖化の影響もあり生息地が脅かされ、備蓄食料や生ゴミを求め、人間の居住区域まで侵入することが増加し懸念されています。生息地帯において銃を持った人間以外脅威となるものは殆ど存在しませんが、ごく稀に水中活動中にシャチに襲われる例が確認されています。

世界中で19の独立した地域にそれぞれ異なるグループが生息していることが明らかにされています。その中の主な地域として、カナダ北極諸島、グリーンランド島(デンマーク)、スヴァールバル−諸島(ノルウェー)、フランツジョセフランド・中央シベリア(ロシア)、アラスカ(アメリカ)などの種があります。

参考HP:〜
ホッキョクグマの生息分布地図

上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。     11/8/8
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