大航海物語 | インカ帝国などの情報伝達手段
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参考資料 | ||
キープ Quipu 結縄(けつじょう) |
スペイン人の来航を知らせた インカの伝令”チャスキ”(Chasqui) |
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MEXICO アステカの伝令”チャスキ”
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NICARAGUA マヤの伝令”チャスキ”
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ESPANA-SAHARA サハラのキープを持つラクダ郵便 ス領サハラ 1959 発行 |
・キープ Khipu、(ス:Quipu) 別名:結縄(けつじょう) キープは文字のなかったインカ帝国(1197-1572)では、紐に結び目を付けて数を記述する方法として使われ、インカの伝令チャスキが持って、帝国全土に張り巡らされていたインカ道(道路網:インカトレイル:Inca Trail、約40,000km)を駆け抜けて運びました。 キープはケチュア語(Quechuan languages)で「結び目」の意味。 キープは紐の結び目(knot)の形で数を表現するため、結縄(けつじょう)とも呼ばれています。 キープの構造は単色、もしくは複数に彩色された紐で作られ、さまざまな形の結び目がついていました。紐は二本撚り以上になっており、太さには4種類が存在。最も太い紐は親紐と呼ばれ、その他は下がり紐として親紐に房状に結びつけられました。結び目の形、紐の色、結び目の場所などに情報が含まれ、結び目の場所で、一、十、百、千、万の位(10進法)が表されました。下がり紐は3本ほどから2,000本近いものまであり、細い補助紐がつけられる場合もありました。 レイランド・ロック(Leyland Lock)の研究によって、十進法を用いていることが判明しました。キープの機能は単なる記号以上の複雑な体系を持ち、言語情報を含んでいることが近年の研究によって明らかにされました。 王や役人は人民の統治に必要な情報などをキープに記録し、その作製および解読を行うキープカマヨック(Quipucamayocs:キープ保持者)と呼ばれた役人がいました。キープカマヨックはインカ帝国統治下の各地に居て、人口・農産物・家畜・武器など資源についての統計や、裁判の判例なども記録。作製されたキープはチャスキ(駅伝方式の飛脚)の手で運ばれました。キープそのものは計算の道具ではないため、ユパパ(Yupana)と呼ばれるアバカス(Abacus:ソロバン様の計算器具)の一種で計算した結果を記録する場合もありました。インカ帝国にはキープを教える専門の学校が存在し、交叉型の分類、集計の混じった情報を扱うこともでき、数学的思考もできました。 結縄(けつじょう)は、中華民族の始祖とされる伝説の伏羲(ふくぎ、Fu Hsi(Fu Xi)、紀元前3350〜紀元前3040)が行ったとされています。 日本では、沖縄や房総半島(九十九里浜の有結網)や北海道で昭和時代まで使われていました。沖縄では琉球王国時代から徴税事務や日常活動において数量を数える表示・記録の手段として用いられました。沖縄では結縄を「ワラザン」「バラザン」などと称し、単位を区別するために紐には太さや材質の異なる複数の藁を用いました。この制度は琉球処分後も継続された人頭税が廃止される1903年まで継続されました。 マッカーサー財団(John D. & Catherine T. MacArthur Foundation、約5.7億ドルの基金を持つ、1978創立)の支援で、ハーバード大学のゲイリー・アートン(Gary Urton)がキープ・データベース・プロジェクト(KDP:Khipu Database Project)で研究の結果、村の場所を現在の郵便番号(ZIP code)と同様の表現法で表していることが解明されました。 参考HP:〜 ・インカ・キープの図 ・インカ道路網の地図(コロンビアからチリにいたる主要道路) ・マッカーサー財団(日本語) ・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。 13/3/4、13/8/20追記、14/11/11 |