シーラカンス Coelacanth |
1939 ”生きた化石シーラカンス”発見50年記念 1989 南アフリカ 1989/2/9 発行 |
・シーラカンス Coelacanth シーラカンスは6500万年前に絶滅した恐竜の生き残りだとされています。そのシーラカンスはシーラカンス目(Coelacanthiformes)に属する魚類の総称で、化石も有れば生きている種もいます。いま生きているラティメリア属は「生きている化石」と呼ばれています。シーラカンス目は古生代デボン紀に出現して広く世界の水域に繁栄していましたが、約6500万年前(中生代白亜紀末)の絶滅境界を境に、全ての種が絶滅したものと考えられていました。 ところが長らく全て絶滅したと考えられていたシーラカンス目の一種が、南アフリカのコモロ島近海で、1938年に生きている種の存在が確認され、学会および世界を騒然とさせました。この種が ラティメリア・カルムナエで、シーラカンスの代表となりました。 ・シーラカンス目の発見:〜 1938年〜ラティメリア属カルムナエ種(Latimeria chalumnae)、イーストロンドン(コモロ沖) 1997年〜ラティメリア属メナドエンシス種(Latimeria menadoensis)、インドネシア(スラウェシ島) シーラカンスの発見は、1938/12/28に地元の漁師ヘンドリック・グーセン船長(Captain Hendrick Goosen)がトロール漁船で獲った魚を、南アフリカの東ケープ州(Eastern Cape Province)イーストロンドン市(East London)バッファロー川東岬(Eastern Cape:Buffalo River 126km)南西45kmにあるチュゥンナ川(Chalumna River)カヤサース海岸(Kayser's Beach)に上げていたのを、友人の電話で聞いたイーストロンドン博物館長マージョリー・ラティマー女史が買取って、ロードス大学魚類学者ジェームス・スミス博士に見せたところ、「この魚は生きた化石だ!」と言って、シーラカンス目と確認されました。 その後、1997年にはインドネシアでもシーラカンスが生きていることが確認されて、これは日本語では生息地域の名を採って「インドネシア・シーラカンス」とも呼ばれるようになりました。インドネシア・シーラカンスは1998年にインドネシアのスラウェシ島の市場で売られているところを発見されたシーラカンスです。最初は南アフリカのコモロ所つお近海で見つかったシーラカンスと同じ種類だと思われていたのですが、違う種類であることがわかり「ラティメリア・メナドエンシス」(Latimeria menadoensis)と名付けられました。南アフリカのシーラカンスとは外見の色が違うだけであまり大きな違いは見られません。 シーラカンスの特徴:〜シーラカンスは1mを超える大きな魚で、2種のみが共に深海に生息 ・ヒレの数が全部で8枚あって、通常の魚(6枚?)よりもヒレが多いといわれている ・色はシーラカンスが濃い灰色をしており、インドネシアシーラカンスは茶色 ・大きさは体長と体重ともに大体人間と同じくらいのかなり大型の古代魚 ・これだけ大きな深海魚なのに、はっきりとした背骨が発達しておらず、 脊柱が背骨の代わりを果たして、また ・背柱だけでなく骨格の多くが軟骨でできている古代魚 ・体内には浮き袋もありますが、他の深海魚とは違い空気では無く脂肪が入った浮き袋 ・シーラカンスは卵を産むのではなく、卵胎生という方法で繁殖 メスが体の中で卵を孵化させて稚魚が少し成長してから体外に生み出す 卵は直径10cmを超え、体長30cm近くになって生れる 卵胎生だということは、化石の状態から想像はされていましたが、 生きたシーラカンスが体内に大きくなった卵を持っていたことから証明 シーラカンスが地球上に出現したのは、今から4億年以上前から3億6700万年前頃のデボン紀と呼ばれる時代の中頃です。化石でシーラカンスの存在は知られていましたが、白亜紀(1億4000万年前〜6500万年前)以降の地層からは化石が発見されませんでした。そのため、シーラカンスは恐竜とともに絶滅した古代魚だと思われていました。ところが実際には深海でひっそりと現代まで生息していたんですね。化石種と現生種の間で形態的な差異がほとんど見られないことなどから、これら2種は「生きている化石」との評価を受けました。
参考HP:〜 ・コモロ諸島の地図 ・シーラカンスの解剖(YouTube動画) ・南アフリカ共和国の州区分地図(東ケープ州とイーストロンドンの場所地図) ・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。 11/4/25 |