大航海物語 大航海時代 と 帆船の食料
ワイン
WINE

参考資料
PORTUGALーMADEIRA
マデイラ諸島のブドウ

マデイラ 1981/7/1 発行
Rep.Di S.Marino
ブドウ(Grapes)葡萄

サンマリノ 1958/8/30 発行

LUXEMBOVRC
モーゼル川地方のワイン醸造用ブドウの収穫
Vintage Moselle

ルクセンブルグ 1958/9/13 発行
MAGYAR POSTA
「雄牛の血ワインボトル」とブドウ

Bottle of Bull's Blood
ワイン産地トカイ(Tokay)地方の17世紀の古城

ハンガリー 1972/8/21 発行

Portugal
ポルトガルのワイン産業
ブドウの収穫
ブドウの収穫

ワインボトルとワイン樽
ワイングラスとワイン輸送船
ポートワインの輸出
ポルトガル 1970/12/20 発行

ワイン
 wine

ワインは、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料である。葡萄酒(ぶどうしゅ)とも呼ばれる。日本の酒税法では「果実酒」に分類されている。ワインは最も多くの地域で飲用されているアルコール飲料の一つである。ワインは主に以下の3種類に分類される。

白ワイン
主に無色に近い色調から(時に緑がかった)黄色みを帯びたワインを白ワインと呼ぶ。白ブドウなど主に色の薄い果皮のブドウを原料とし、発酵には果汁のみを使用する。酸味の強い物は、一般的に魚料理に合うとされる。

赤ワイン
透き通った赤や濃い紫、あるいは赤褐色のワインを赤ワインと呼ぶ。一般に白ワインよりもタンニンを多く含み、渋みがある。主として黒ブドウや赤ブドウを原料とし、果実を丸ごとアルコール発酵させる。この発酵の過程で、果皮に含まれる色素やタンニンが抽出される。マロラクティック発酵により減酸が行われることも多い。濃厚な風味のものは一般的に肉料理に合うとされる。また冷やすと苦味が増すので、冷やさないのが普通である。

ロゼワイン
ロゼ(rose)とはフランス語で「薔薇色」を意味し、時に「ピンク・ワイン」とも呼ばれる赤みを帯びた淡い色調のワインを指す。製法には、果皮の色の薄いブドウを赤ワインのように醸造する方法や、赤ワインと同じブドウを白ワインのように醸造する方法、赤と白の双方のブドウによる混醸などがあり、味わいも様々である。

・その他に発泡ワインなどの特殊な製法のものがある。

ワインの歴史:〜
ワインは最も歴史の古い酒の一つとされ、紀元前6000年頃にメソポタミアのシュメール人により初めてワインが作られたといわれる。ワインの宗教的利用も古くから始まっている。ギルガメシュ叙事詩には、古代メソポタミアで伝説的な王・ギルガメシュが大洪水に備えて箱舟を造らせた時、船大工たちにワインを振舞ったという話がある。紀元前5000年頃にはビールも作るようになり、紀元前3000年頃に古代エジプトに双方が伝わったとされ、ピラミッド内部の壁画にも克明に製法が記録されている。

ビールの醸造の方が比較的簡単であったため、これら古代オリエント地域では、ビールを日常消費用、ワインを高級品として飲み分けていた。その後フェニキア人により古代ギリシアへも伝わり、この頃は水割りにして飲まれていた。現代ギリシャ語でワインをエノロジー(oenology、ワイン醸造学の語源)ではなく普通「混合」と呼ぶのはこの水割りの習慣の名残である。ワインはそこから地中海沿岸に伝えられ、古代ローマへと伝わり、ローマ帝国の拡大と共にガリアなどの内陸部にも伝わっていった。

ワイン製造の技術が格段の進歩を遂げたのはローマ時代においてとされ、この時代に現在の製法の基礎が確立した。中世ヨーロッパの時代にブドウ栽培とワイン醸造を主導したのは僧院であった。イエス・キリストがワインを指して自分の血と称したことから、ワインはキリスト教の聖餐式において重要な道具となった。ただしこの時代、ワインは儀礼として飲むものとされ、むやみに飲んで酩酊することは罪とされていた。

ルネサンスの時代以降、娯楽としての飲酒が発展する。17世紀後半、醸造や保存の技術、また瓶の製造技術が向上し、ワインの生産と流通が飛躍的に拡大した。

特殊な製法のワイン:〜
・貴腐ワイン:〜
貴腐ワインは、ボトリティス・シネレアという貴腐菌がついた葡萄から作ったワインのことを指す。貴腐菌により果皮に無数の穴が開き、そこから余分な水分が蒸発して糖度が上がり、非常に甘いワインとなる。また菌による代謝を受けるため組成成分が変化し、貴腐香と呼ばれる独特の香りを持つ。食後酒・デザートワインとして珍重される。フランスのソーテルヌやハンガリーのトカイがとくに有名であり、オーストリアの「ノイジードラーゼー」やドイツの「ベーレンアウスレーゼ」や「トロッケンベーレンアウスレーゼ」も貴腐ワインとなる。

・アイスワイン:〜
アイスワインは、天然状態で凍ったブドウから生産されるワインである。水分は凍るが糖やその他の固体成分は凍らないため果汁が濃縮され、非常に甘いワインとなる。天然に濃縮された果汁を発酵させる点は貴腐ワインと同じだが、アイスワインはボトリティス・シネレアの影響は受けていないため貴腐香は持たない。アイスワインの誕生はドイツのフランケン地方であった。ブドウ畑が予想していない寒波におそわれてしまいブドウが凍ってしまった。諦めきれなかった農民たちは、凍ってしまったブドウでワインを造ったところ、とても糖度が高く美味しいワインとなっていた。アイスワインとして最も有名なものはドイツのアイスヴァイン(Eiswein)であるが、カナダやオーストリアでも造られている。世界最大のアイスワイン生産国は安定した寒さが得られるカナダであり、本家ドイツを上回る高い評価を受けている。また、ナイアガラ地方にはアイスワインの生産で世界最大のワイナリーが存在する。日本ではアイスワインを定義する法律がないためにフルーツワインをアイスワインと称して販売しても違法ではないが、カナダ、ドイツ、オーストリアにおいてはアイスワインと名乗るためには、原料、収穫方法、温度などの厳格な基準を満たす必要がある。

・氷結ワイン:〜
氷結ワインは、冷蔵庫を用いて人工的にブドウを凍らせ、アイスワインと同様に水分を除いて濃縮された果汁を醸造するワインである。非常に甘い濃厚なワインとなる。

・麦わらワイン(干しぶどうワイン):〜
麦わらワインまたは干しぶどうワインとは、収穫後に筵や藁の上で乾燥させて糖度を高めた葡萄から作られるワインのことを指す。貴腐ワインやアイスワインと同様に濃厚な甘口ワインとなるが、特徴的な干しぶどうの風味を持つ。麦わらワインは、フランスでは「ヴァン・ド・パイユ」、イタリアでは「パシート」、オーストリアでは「シュトローヴァイン」などと呼ばれている。ドイツでは法改正の影響で現在は製造されていない。

・にごりワイン:〜
にごりワインとは、発酵途中の「もろみ(甘さが残った)」を濾過をしない状態で瓶詰めしたもの。瓶中に残る果実繊維や酵母、酒石酸などによりアルコール感を低減させ、ワインの苦手な方も美味しく楽しめる味わいが特徴である。特に秋の新酒の時期に楽しまれているが、最近では「葡萄」に限らず「梅」「ブルーベリー」等フルーツ原料のものも増えている。

・シュール・リー:〜
白ワインでオリ引きをせずに熟成させたもの。ロワール河々口地域に古くから伝わる方法。日本では、5ヶ月以上の接触を必要とし且つ6/30までに瓶詰めされた物と規定している。6/30という期日は夏期の高温による品質劣化を防ぐ為に定められている。

・フレーバードワイン
フレーバードワインは、普通のワインにブドウ以外の果実、果汁、香草、薬草などを加え、香りを付けたものである。カクテルのマティーニの材料としても使用されるベルモットや、サングリアなどがある。

ワインの産地:〜
ヨーロッパ周辺地域においては歴史上古くからワイン造りが行われている。代表的な産地はフランス、イタリア、スペインなどであり、名だたる高級ワインを生産している。近代以降になってワイン造りが始まった地域は「ニューワールド」と呼ばれる。安定した気候や企業的経営を背景に、一般消費者でも手軽に買い求められるワインを生産している。近年ではニューワールドワインの品質向上も目覚しく、ヨーロッパの名醸ワインをしのぐ品質のワインも出てきている。 2007年頃からは“ブランド物でなければワインなどどこの国の物も同じ”とニューワールド物に流れる傾向が強まり、ワインが売れずに廃棄されたり、フランスでは一部の零細ワイナリーが廃業したりする事態になって来ている。

ヨーロッパ周辺地域:〜
フランスワイン:〜
フランスでは、多かれ少なかれほぼ全土でさまざまなワインが生産されている。その最上のものは今なお世界の規範とされる。1935年にAOC法を制定し、国を挙げて品質の維持・向上に取り組んでいる。 イタリアワイン イタリアでは、恵まれた気候のもと国土全域で多彩なワインが生産され、生産量・海外輸出量でフランスと毎年一位を争っている。ピエモンテ、ヴェネト、トスカーナなど北部諸州の名醸地が特に知られる。近年では、量から質への転換が図られている。

ドイツワイン:〜
ドイツはその地理的要件から、葡萄の栽培が南部の地方に限られる。この地は葡萄の生育できる北限とされ、主にライン川やモーゼル川の支流沿いでワインが生産されている。冬季、時にクリスマスにはシナモンなどスパイスを利かせたホットワイン、『グリューワイン』が飲まれる。

イギリスワイン:〜
イギリスはウィスキーやビールの生産量がはるかに多いものの、ウェールズ地方では少量のワインが生産されている。また、近年の温暖化の影響により、イングランド全土でワインの生産が可能になり、殊に発泡ワインは、UKワインとして広まり始めている。

スペインワイン:〜
スペインはフランス、イタリアに次ぐワイン生産国である。北部のラ・リオハ地方及びカタルーニャ地方、中部のラ・マンチャ地方、南部のアンダルシア地方が有名な産地である。

ポルトガルワイン:〜
ポルトガルは北部のダン地方、ヴィニョ・ヴェルデ地方及びアルト・ドウロ地方が有名な産地である。ポルトガル北部では独特の酒精強化ワインであるポートワインが生産される。マデイラワインもある。

オーストリア:〜
オーストリアがドイツ語圏である事から、そのワインもドイツに似た甘味のある物が主体と考えられがちであるが、実際には貴腐ワインやアイスワインといったごく一部を除き、ほとんどが辛口である。ヴァッハオ、クレムスタール、カンプタールを擁するニーダーエスタライヒやノイジードラーゼー周辺とその南部のブルゲンラント、更に南のシュタイアーマルクといった地方が比較的有名である。1985年に発覚した「ジエチレングリコール混入事件」を機に、輸出市場は一度壊滅的打撃を受けたが、以来世界一とも評される厳密な規制が設けられたため、品質が急激に向上した。日本への輸出もここ数年大きく拡大している。栽培面積の3分の1を占めるグリューナー・フェルトリナー種で名高いが、質的にはリースリングも重要。また、最近では赤ワインの醸造水準の向上も目覚ましい。

ハンガリー:〜
ハンガリーはブルゲンラント、ショプロン、ヴィッラーニなど有名な産地を抱えて有名で、中でもトカイのトカイワインは世界三大貴腐ワインの一つに数えられ、世界的に有名である。

モルドバワイン:〜
モルドバは古くからブドウが自生していた地域の一つで4千年から5千年前にはすでにブドウの収穫およびワインの製造が行われていたらしい。地理的且つ歴史的理由から主にロシア帝国ないしはソヴィエト連邦に於いて消費をされており、ソヴィエト連邦時代に市場に出回っていたワインのおよそ7割がモルドバ産だった。独立後15-6年をへて少しずつ西側市場に出回り始めている。土壌及び趣向の違いから独特の風味を持っている。

北アフリカ:〜
古代よりローマ文明の影響下にあったエジプトでは、ビールとともにワインは古くから作られてきた。また、近代において長くフランスの植民地であったモロッコやアルジェリア、チュニジアなどで、地中海性気候を利用してブドウを栽培し、ワイン生産を行っている。

アメリカ合衆国:〜
アメリカ合衆国は世界第4位のワイン生産国である。生産量の9割をカリフォルニア州が占める。サンフランシスコを中心とする北部太平洋沿岸地域は、ヨーロッパの名醸地と似た気温で知名度の高い産地が多く、ナパ・バレー地域を中心として、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなどの品種が栽培され、高級ワインを産出する。

カナダ:〜
カナダでは主にオンタリオ州のナイアガラ地方とブリティッシュコロンビア州のオカナガン地方やビクトリア周辺でワインが生産されている。品質管理のためにフランスやイタリアの原産地呼称管理制度を模して、ワイン卸商品質同盟(VQA)が導入されている。アイスワイン最大の生産国である。

アルゼンチン:〜
アルゼンチンでは上質なワインのほとんどが、メンドーサ州の高地で生産される。かつてはワインの国内消費量において世界有数であったが、一方で質はそれほど高いものとはいえなかった。他の飲料に押されて国内での消費が低調となり、それが生産者側の品質への関心を高めることなった。また、ヨーロッパのブドウ畑の飽和状態から、不足を補おうと外資が参入したこともあって、国際競争力に耐える優良なワインが生産されるようになった。独特の強い香りを持つものが多く、固定ファンも増えている。

チリ:〜
チリは南米を代表するワイン生産国であり、19世紀にヨーロッパブドウのヴィニフェラ種が持ち込まれたと言われている。首都サンティアゴの南で主にブドウが栽培されており、1995年に施行された生産地の法規制によって、マイポ、ラペル、マウレの3つの大きな地域に区分けされた。コンチャ・イ・トロ、サンタ・リタ、サン・ペドロ、サンタ・カロリーナの4つの特に大きな生産者が知られる他、フランスのラフィットのロスチャイルド家やスペインのミゲル・トーレスなどの海外資本もこの地に畑を有し醸造所を構えている。安価でコストパフォーマンスの優れたワインを製造している企業もある。

南アフリカ:〜
南アフリカ共和国では新世界としては比較的古く17世紀の半ばからワインの生産が行われてきた。長く続いたアパルトヘイトの影響もあり、この国のワインが国外に出ることは少なかったが、この差別制度が撤廃されて以降、徐々にその名が知られつつある。気候の関係から、アフリカ大陸の最南端、喜望峰周辺でブドウの栽培が行われている。

オーストラリア:〜
オーストラリアは世界でも有数のワイン生産国であり、その多くを海外へ輸出している。ブドウ畑は多くが比較的冷涼な大陸南部の沿岸に位置し、降水量が少ないことから灌漑が普及している。南オーストラリア州でオーストラリア全体の半分が生産される他、ビクトリア州、ニュー・サウス・ウェールズ州、西オーストラリア州やタスマニア州もワインの重要な産地を多数有する。著名な産地としては、南オーストラリア州にあるオーストラリア最大の産地リヴァーランド、他にバロッサ・ヴァレー、クナワ、ビクトリア州のヤラ・バレーが挙げられる。最も代表的なブドウの品種はシラーズである。

中国:〜
中国では最南西部雲南省の紅河ハニ族イ族自治州弥勒県がワイン生産の中心である。20世紀初め、ここに入ったフランス人宣教師が故郷に似たカルストの地形にブドウの栽培を試み成功させた。ベトナム統治時代のフランス(フランス領インドシナ)が、鉄道による中国との直結を機に、この温暖で安定した気候の地をブドウ栽培とワイン醸造の地とし、フランス本国より木樽と技術指導者を入れ本格的に生産を開始した。「ローズ・ハニー」という珍種はフランス本国でも虫害で絶滅してしまった品種で、黒酢の醸造からヒントを得て甕による熟成を特徴とする。

その他のワイン生産国:〜
ルーマニア、旧ユーゴスラビア諸国、ブルガリア、ギリシア、グルジア、トルコ、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ地域、レバノン、キプロス、ニュージーランドなどでワイン生産が行われている。

日本のワイン:〜
日本におけるワイン生産は明治時代に始まった。だが国産ワインの需要も少なく、各地で細々とつくられていただけであった。

ワインの病気:〜
ウィルス病(4)
・フィロクセラ
・ブドウトリパ
・カイガラムシ
・トラカミキリ
・ダニ
・ネマトーダ〈線虫〉

フィロクセラ :〜
 スペイン・マンレザのワイン生産は「フィロクセラ病」の流行で地域の主幹産業ではなくなった。
 1800年代の後半、フィロクセラによって壊滅的な打撃を受けたフランス各地のワイン生産地では、この害虫に耐性を持つ台木に、それまでそこで栽培されていた品種を継き木してワイン産業の復活を図っていた。しかしながら、フィロクセラの害を受けたフランス全土のカルメネール畑では、特にフィロクセラに弱く、晩熟で一株当たりの収穫量の少ないカルメネールを植え直すことは敬遠され、比較的ワインのタイプが似通っていて長所の多いメルローに植え替えられたのである。
 1875年、ボルドー地方に侵入したフィロクセラ病によって当地の葡萄の樹は全滅に近い状態になり、 その後フィロクセラ病はコニャック地方をも襲い、ブランデー業界はこの病虫害によって壊滅的な打撃を受けた。葡萄の樹の改良によって再び蘇生し二十世紀を迎えた。
 1884年にヨーロッパのぶどう畑に大きな被害を与えたフィロクセラ病の流行と、さらには第一次、第二次世界大戦を経て、ぶどう畑は国有化され、その結果ルーマニアは世界のワイン市場から姿を消しました。

病気
ワイン関係では、先ず葡萄の樹の病気があり、中でも1875年から13年間にわたりフランス・ワインに潰滅的打撃を与えたアメリカ由来の昆虫フィロクセラ(→ Phylloxera)やカビのべと病(→ mildiou)、うどんこ病 (→ oidium)などが恐れられている。 ワインの品質を劣化させる病気には細菌・酵母などの微生物が原因となる場合と、金属による化学変化、酵素が触媒する化学変化などがある。
1.酵母による病気 飲みかけのワインを常温で放置すると、数日後にはワインの表面に灰色の薄い膜が出来、次第に厚くなり、色も白ないしピンクを呈してくる。この様なワインをヴァン・フルーリ(vin fleurit :花の咲いたワイン)という。名は綺麗だが、この膜は好気性の酵母の菌体で、アルコールを水に分解する。僅かでもこの酵母の生えたワインはプラ(plat)、すなわち気が抜けた味になるので、ワインの表面を空気に晒さないよう注意すること。また長期間瓶を立てておくとコルク栓が乾き、空気の流通が良くなるのでワインを酸化させる恐れがある。
2.細菌による病気 ワインに花が咲くような状態は酵母の他に酢酸菌が生えることもある。菌の作る酢酸は刺すような酸味を感じるためか、この様なワインをヴァン・ピケ(vin poque)という。また酸の少ないワインの場合、空気を好まないいわゆる嫌気性細菌が生え、大量の炭酸ガスを出してワインを濁らせ、揮発酸を生成して不快臭を発することがある。 嫌気性細菌の中にはワイン中の葡萄糖を乳酸・酢酸・マニトールに変えて、不快な甘酸味の原因となるもの、ワインのさらっとした流動性を油のように変化させるマラディー・ド・ラ・グレース(maladie de la graisse:グリース病)を起こすものなどもある。 微生物混濁の場合、ワインが僅かに曇った状態の時、すでにワイン1mlあたり10万個もの細菌が含まれている。
3.金属の関係する変質 (1)白変(casse blanche :カース・ブランシュ) 白ワインがオパールのような光沢を帯び、灰青色の沈殿を生ずること。燐酸第二鉄が原因。 (2)銅変(casse cuivreuse :カース・キュウイヴルーズ) 還元状態に置かれた銅を含む白ワインで褐赤色の沈殿物を生ずること。硫化銅が原因。
4.酵素作用による変質 褐変(casse brune :カース・ブリュンヌ) 原料葡萄由来の酸化酵素の作用で、赤や白のワインが空気に晒されたときに起こる。同時に焦げ臭や苦味をワインにつける。

Phylloxera(フィロクセラ)
葡萄にとって最も恐ろしい敵とみなされている昆虫。 アメリカ原産の葡萄の苗と共にヨーロッパに渡ったもので、1864年に南フランスのガール県(Gard)で発見され、1873〜80年にかけて猛威を振るい、1888年にはフランスの61の県が被害を受けている。春に卵から孵った幼虫は米国種の葡萄の葉について瘤をつくり、単性生殖で1匹が500〜600もの卵を産み、幼虫に孵って根に寄生して根瘤をつくり、羽を持った成虫となって卵を生み回る。 根に寄生して殖え、土埃・衣服・耕作器具などを介して周囲の葡萄に伝染していく。対策としてはフィロクセラに抵抗性のある台木に欧州系葡萄を接ぎ木する方法が有効。

oidium(オイデューム)
葡萄のうどんこ鋲。病害部は白く粉っぽい斑点を形成する。病原菌は麹菌に近いうどんこ菌(Unicinula nectar)というカビで、葡萄の樹の緑色の部分を全て侵す。米国系葡萄はこれに強いが、欧州系葡萄は弱く、気温、湿度が高いときは病気が発生しやすい。この病気の予防には硫黄薫製が有効。

mildiou(ミルディウー) 葡萄のべと病。
1878年、フランス人プランション(Planchon)は、この病気がタンジクツユカビの一種、葡萄べと病菌(Plasmopora viticola)というカビによって起こることを初めて明らかにした。べと病は気温、湿度の高い年に発生しやすく、菌は葡萄の小枝、葉の裏側、果房、果粒など、まだ緑色で、柔らかいところを好んで生える。これに侵されると、患部は黄色から褐色に変化し、組織は崩れ、べとべとしてくるが、やがて乾燥して枯れ落ちる。この対策には硫酸銅を含むボルドー液(bouillie bordelaise)の散布が有効。

maderise(マデリゼ)
マデール(Madere)から派生したワインの官能評価語。 貯蔵条件が悪く、空気酸化あるいは熱による化学変化を受けた白やロゼ・ワインに使われる形容詞。色は褐変し、砂糖を焦がしたような臭いを呈する。色の褐変は発酵が停止し、発酵の炭酸ガスの発生が悪い場合、果醪の空気酸化が防ぎきれず起こることもある。 また貴腐(→ pourriture noble)の葡萄は、菌が生産した酸化酵素を多く含むのでマデリゼになりやすいといわれる。ワインに酢酸菌が生えて酢になるのを酸敗、ワインで酢をつくることを酢酸発酵と言葉を使い分けている様に、マデイラ酒を作るためのワインの酸化ではなく、意志に反してワインが酸化してしまう欠点としてマデリゼという評価が与えられる。

pourriture noble(プーリテュール・ノーブル)
<英> noble rot ノーブル・ロット <独> Edelfaule エーデルフォイレ
貴腐。
白ワイン用の果皮が厚い品種の葡萄が成熟したところに、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)というカビが生えると、果皮が薄くなり、果粒に含まれている水分が蒸発し、その分果粒中の糖分が濃縮されるとともに、カビによりグリセリンなどもつくられ、特有な芳香がつく。この現象を貴腐という。フランスではボルドー地方のソーテルヌ地区(→ Sauternes)のセミヨン種(→ Semillon)、ドイツではライン(→ Rhein)やモーゼル (→ Mosel-Saar-Ruwer)地方のリースリング種(→ Riesling)の貴腐化葡萄を使って高級甘口ワインの貴腐ワインがつくられている。 (→ Beerenauslese)

・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。       09/8/8

スタンプ・メイツ
Copyright(C):Nicky
無断転載禁止