大航海物語 | 大航海時代 と 帆船(植民地)の食料 ヤシガニ Coconatu Crab |
参考資料 |
ツバル 1976 発行 |
ヤシガニ |
ヤシガニ(ヤシ蟹):〜:太平洋とインド洋の一部の島々に生息 Coconatu Crab ヤシガニ (椰子蟹) Birgus latro:エビ目(十脚目)・ヤドカリ下目・オカヤドカリ科の甲殻類 ヤシガニは陸上生活をする甲殻類では最大種で、食性は口に入るものなら腐敗した死肉でも食べる雑食性で、必ずしもその主食にヤシの実があるわけではない。ヤシの実を食すことは確かだが、実を切り落とすために木に登る習性も確認されておらず、上記のイメージは口述伝承から生まれた誤解。ヤシガニは強力な鋏脚でヤシの実の硬い繊維も切り裂く事が出来る。また、銀食器や鍋などきらきらとした物を持ち去ることから、英語では Robber Crab (泥棒蟹)あるいは Palm Thief (椰子泥棒)などと呼ばれることもある。また、若いヤシガニは貝殻の中にその身を隠すこともある。生息域がインド洋の最西端からミクロネシアまで広がっているため、様々な名前で知られており、グアムではアユユと呼ばれ、その他の地域ではウンガ、カヴュ等と呼ばれることがある。また、生息する地域により様々な色をしており、明るい紫色から茶色まである。 雄は雌より大きく体長は40センチメートルを超え、脚を広げると1メートル以上にもなり、4キログラム以上に成長する。寿命は50年程度と考えられている。ヤシガニはヤドカリの仲間ではあるが、その大きさのため成体は体に見合う大きさの貝殻を見つけることは困難で、若いヤシガニはカタツムリの殻などを用い、成長するにつれて、ヤシの実などを使うこともある。他のヤドカリとは違い、成体は腹部をキチン質や石灰質で覆い硬くし、カニのように尾を体の下に隠すことで身を守る。腹部を硬い物質で覆うことで地上で暮らすことによる水分の蒸発を防ぐが、定期的に腹部を脱皮する必要があり、再び腹部が硬くなるまでは30日ほどかかる。この間、ヤシガニは身を隠す。 ヤシガニは地下にハサミを使って掘った穴や岩の割れ目を住み家とする。日中は天敵と直射日光を避けるために穴の中に隠れており、雨や霧の日でない限り外に出ることを避けるが、生息数が多い地域では日中にも食べ物を探しに現れることもある。巣の中で休んでいる時は入り口をハサミでふさぎ、巣の中の環境を一定に保つようにする。ヤシガニはほぼ陸上生活に適応しているため、海岸線から6km以上も離れたところで発見されたこともある。ヤシガニは成長すると産卵時を除いて水に入る事は無い。また、まったく泳ぐことが出来ないため、波打ち際までしか入ることが出来ず、水の中では溺れる。 八重山諸島でも、ここ数年で乱獲や交通事故等のため急速に個体数が減少している。現在、レッドデータブック絶滅危惧II類に分類されている。 太平洋の島々では、ヤシガニは特別なご馳走であり、回春薬であるとされ、雌のヤシガニの卵と腹部の脂肪分は特に重宝されている。ロブスターのように茹でたり蒸したりして食べる。島によって調理法は様々で、ココナッツミルクで茹でる地域もある。日本では沖縄県の一部地域で食べる習慣がある。 ヤシガニの肉には毒性はないが、ヤシガニが食べたものによっては毒を蓄えることがあり、宮古島以南でヤシガニにより中毒した例が報告されている。中毒症状は嘔吐・吐き気・手足の痺れなどで、死亡した例もある。 参考HP:〜 ・ヤシガニの分布域の地図 ・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。 10/1/10 |